隠すまでもなく、さりとて広めるほどでもなく

いずれはきちんとまとめたいのです。とりあえず半公開まで。

ノリ彦・トリ彦(2)

 16/32ビットPCの時代、新しいマシンを買うごとに「マイクロソフト・フライトシミュレータ」(以下MSFS)を買っていた。最初は、バージョン4がPC98版として発売されたときだ。その後、メイン機をMac(LC475)に替えたときは、Mac版を購入した。実はMacで最初に買ったソフトで、また初めての英語オンリーソフトだったりもする。
 ちなみに当時のMSFSの画面は、今では信じられないほどにシンプルだった。山とか雲とか、みんな超ローポリ。地上はというと、主要なビルのみがポリゴンで、後は道が描いてある程度だった。橋は、平板ポリゴンとワイヤーの組み合わせ、タワーはワイヤーだけ。自由の女神なんて平板の女神像の裏にワイヤーでつっかえ棒が描かれていたほどだ《ホントだぞ!》。主な空港はそれっぽく滑走路や誘導路がマッピングされていたけど、マイナーな空港だと線画だけ。地面にチョークで滑走路書いているようなものだった。それでも熱中して飛んでいたのだ。まあ、あの時代、ユーザーに逞しい想像力を求めていたのは、このソフトに限ったことではないのだが。
 やがてソフトのほうがバージョンアップし、航空写真も使ったリアル(笑)な表現になった。ぼくは、いても立ってもいられなくなり、メインのデスクトップ機をPC/AT機(エプソンダイレクトエンデバー)に替えてしまった。

 コンバット系に興味がないわけじゃない。そもそもMSFSよりも前に、「エアーコンバット」(byシステムソフト)をプレイしていたし、Macでは「F/A-18Honet」でさんざん飛んだし。それでも、MSFS、あるいは「X-Plane」のような撃たないフライトに、結局は戻っていってしまう。
 コンバット系のフライト・ゲームは、ゲームデザインが難しい。ゲーム性を追求すると、一人称シューティングに傾いてしまうのだ。簡単に飛べて、飛行とか弾薬とか気にすることなく戦いに専念できて、簡単に帰ってこられる、そんなゲームになってしまう。ユーザー層の厚さから、マーケティング的にはそっちが正解となり、結局は駆逐されてしまう運命にある。今「エアーコンバット」の名を出したけど、若い人なら「えー? それって『エースコンバット』の間違いじゃないの?」なんて思うだろう。
 でも、それじゃ満足できないんだよね。空戦の本質というのは、一言で言えばマネジメント。ドッグファイトに求められるのは勇猛果敢さではなくて、エネルギーをどうマネジメントするかの技術だ。相手に対して優位に立つためには、動けるエネルギーを持っていなければならず、無駄な機動はそれを消耗し、自らを不利な地位に導いてしまうのだ。そして武装もまたマネジメントの対象だ。パイロットに与えられているのは、4発のAMRAAMと2発のサイドワインダー、そして連射15秒で撃ち尽くす20ミリ弾、これで全て(もちろん機種によって違いますけどね)。熱いハートのまま撃ったのでは、あっという間に丸腰になってしまう。こういう制約下で飛ぶのが戦闘機乗りだってことを、探求的に知識を漁った人間なら知っている。それを経験したいからシムフライトをするのに、「こんなの煩わしいでしょ?」なんて言いながら勝手に省略されたのでは、付き合いきれないのだ。

 MSFSは、その後もPCの3D描画力の向上に合わせて小刻みにバージョンアップしていたが、ぼくは追いかけ続けることができなかった。WindowsがVISAになった頃、持っていた大型ジョイスティック「サイドワインダー・プロ」への対応がなくなってしまったのだ(マイクロソフト製だっていうのに、やんなっちゃうね!)。その結果、ちょうど出てきた「X」の購入動機が萎んでしまった。
 で、MSFSもここで打ち止めになる。その後マシンは買い替えたけど、対応させるべきバージョンが存在せず、シムフライト歴もしばし停止だ。
 これが変わったのは、最近のこと。新バージョンがようやく発売されたのだ。購入後数年経っていたぼくのマシン環境はとても飛ばせるようなものではなく、一時は諦めもしたのだが、結局グラボを新しく買い替えてしまった。なんだか、せっかくぼくのために作ってくれたのに、無視しちゃ申し訳ないような気がしてしまったのだな。GPUはRTX2060。約3万円と、最新ゲーム機よりも高価だが、これはしかたない。また、操縦桿までは手が出せず、フルキーボード+XBOX仕様のジョイパッドで飛んでいる。